貿易拡大策と安全保障政策が並行
中国の2026年の貿易政策は、対外貿易の拡大を支える施策と、国家安全保障に関わる輸出管理を強める施策が同時に進んでいる点に特徴がある。国家統計局によると、1〜7月の貨物輸出入総額は30兆1264億元となり、前年同期比17.3%増えた。輸出は17兆4400億元で14.0%増、輸入は12兆6864億元で22.0%増加した。輸入の伸びが輸出を上回っており、中国政府が掲げる輸入拡大策も実際の貿易量に表れている。
商務部は8月27日、関係9部門と航空分野の保税修理を促進する意見を公表した。保税修理は、海外から搬入した航空機や部品を関税等の納付を留保した状態で修理し、再輸出する仕組みで、中国が単純な製品輸出だけでなく、修理・保守など高付加価値サービスを国際貿易に組み込む動きといえる。自由貿易試験区、総合保税区、加工貿易政策などと組み合わせ、製造とサービスの双方で外貿易を取り込む狙いがある。
935品目に輸入暫定税率
関税政策では、2026年1月1日から935品目に最恵国税率を下回る輸入暫定税率が適用されている。対象には高度製造に必要な部品や先進材料などが含まれ、中国政府は国内産業の高度化と輸入コスト削減を同時に進めている。また、RCEPを含む自由貿易協定に基づく協定税率も継続しており、日本から中国へ輸出する企業には、最恵国税率、暫定税率、RCEP税率を比較する余地がある。
日本向けでは二用途品管理が最大の論点
一方、安全保障分野では対日輸出管理が強化された。商務部は1月6日、日本の軍事ユーザー、軍事用途、および日本の軍事能力向上に資するその他の最終需要者・用途への二用途品輸出を禁止した。さらに6月29日には、日本の20主体を輸出管制管控リストに追加した。規制対象は一般の日用品すべてではなく、輸出管理法制上の二用途品であるが、工作機械、精密機器、電子部品、先端材料などでは仕様と用途の確認が欠かせない。
企業は政策を三つに分けて確認
日本・香港企業が中国との商流を設計する際には、中国の貿易政策を一括して捉えず、①関税・FTAによる市場開放策、②保税・加工貿易など貿易円滑化策、③輸出管理・安全保障規制、の三つに分けて確認するとよい。特に香港を経由する取引でも、中国本土から香港へ搬出する段階では中国の輸出管理が適用される。中国原産の規制対象品を第三国・地域から特定の需要者へ移転する行為にも規制が及ぶ場合がある。
2026年後半は、中国の輸出入総額がどこまで伸びるかだけでなく、商務部の輸出管理公告、海関総署の通関条件、国務院関税税則委員会の税率変更を個別に確認する必要がある。成長市場を取り込むためにも、営業部門と通関・法務部門が同じ商品マスターと顧客情報を共有する体制が求められる。