中欧班列、10年で国際物流の主要ルートへ
中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」が、運行規模だけでなく定時性とサービス品質を競う段階に入った。中国国家発展改革委員会が2026年7月28日に開いた中欧班列統一ブランド10周年の記者会見によると、累計運行本数は13万列を突破し、運送貨物の価値は5200億ドルを超えた。2025年の運行本数は2万22列で、2016年の1702列から大幅に増えた。2026年6月まで、積載効率を示す重箱率は46カ月連続で100%を維持したとしている。
輸送時間も改善している。国家発展改革委によれば、中国・西安からドイツ・デュイスブルクまで従来は15日程度を要したが、全行程の運行時刻を固定した「全程時刻表」列車では最短11日で到着できる。今後は全程時刻表列車の運行範囲を段階的に広げ、通関利便性や複数輸送モードとの接続を改善する方針だ。
日本企業にも直接影響する鉄道網
中欧班列は日本と中国を直接結ぶ鉄道ではない。それでも中国に工場や仕入先を持ち、欧州へ販売する日本企業には重要な物流インフラとなる。中国工場で製造した製品を一度日本へ輸入してから欧州へ再輸出するのではなく、中国から欧州へ直接届けることで、物流距離、輸送時間、二重の荷役を削減できる案件がある。
とりわけ自動車部品、機械部品、電気製品、設備部材など、航空輸送では高額になりやすい一方、海上輸送では納期が長すぎる商品では鉄道が中間的な選択肢になる。ただし「11日」という数字をそのまま顧客納期として扱ってはいけない。工場から中国側ターミナルまでの集荷、列車待ち、国境での作業、欧州側ターミナルから顧客倉庫までの配送を含めたDoor-to-Doorの日数を確認する必要がある。
地政学と輸出規制は経路単位で確認
鉄道物流では複数国を通過するため、経路上の政策変更や国境事情が影響しやすい。貨物のHSコード、原産国、最終需要者、用途、経由国を特定し、輸出管理や制裁の対象にならないかを確認しなければならない。フォワーダーから「運べる」と回答を得ただけで輸出管理上も問題がないとは限らない。
また、物流BCPの観点では、海運、鉄道、航空を互いに代替できる状態を作ることが有効だ。量産分を海運で送り、不足する補充分を鉄道、緊急部品を航空にするなど、商品単位で輸送モードを分ければ物流コストと欠品リスクを調整できる。
- ターミナル間日数とDoor-to-Door日数を区別する
- 国境通過・通関に必要な書類を事前確認する
- 制裁、輸出管理、危険物規制を経路ごとに確認する
- 遅延時の海運・航空への代替ルートを決めておく
- 貨物保険の補償対象国と輸送区間を確認する
国家発展改革委が今後、時刻表列車の拡大と輸送モード間の接続強化を進めれば、中国内陸部の工場も欧州向け輸出の立地競争力を高める可能性がある。日本企業の中国拠点では、港までの距離だけでなく鉄道ターミナルへのアクセスも調達・工場立地の判断材料になってくる。