工場監査を「見学会」にしない
中国OEMで工場監査を行っても、ショールームや最新設備を見て「大きな工場だから安心」と判断すれば品質リスクは残る。監査の目的は工場の規模を確認することではなく、発注する製品が承認された材料、工程、検査条件で生産され、不具合が発生した場合に原因を追跡できるかを検証することにある。
中国の製品品質法は、生産者・販売者に内部製品品質管理制度の整備を求め、生産者には自ら生産する製品の品質責任を負わせている。発注者の監査でも、工場が自社の品質をどのような仕組みで管理しているかを確認することが中心となる。
完成品から原材料まで逆方向に追う
監査では完成品倉庫から任意の製品・ロットを選び、出荷検査記録、製造日報、工程内検査、使用部材、原材料受入記録まで逆方向に追跡する方法が有効だ。各帳票が存在していても、現物のロット番号と結び付いていなければトレーサビリティは機能していない。
測定機器の校正も確認する。ノギス、重量計、電気試験器などを使っていても、校正期限が切れていれば測定値の信頼性を判断できない。不良品については良品と同じ場所に置かれていないか、隔離、再加工、廃棄の承認ルールがあるかを見る。
外注工程は監査の盲点
中国工場ではメッキ、塗装、熱処理、印刷、表面加工などを外部へ委託することがある。製造工場だけを監査しても、重要品質特性が外注工程で作られている場合は不十分だ。外注先の選定基準、受入検査、定期評価を確認し、重大工程については外注先監査も検討したい。
認証対象製品では証書と実生産品の一致も確認する。国家認監委は2026年4月、電動工具、小型モーターなどを含む11分野のCCC実施規則を公表し7月から実施した。5月には電動自転車、童車、玩具の新版規則も公布した。工場が「CCC取得済み」と説明していても、証書の製造者、製造工場、対象型式が今回の製品に対応しているかを照合する。
- 完成品から原材料までロットを追跡する
- 作業標準書と実際の作業を比較する
- 測定機器の校正記録を確認する
- 不良品の隔離・再加工手続きを確認する
- 外注工程と協力工場の管理方法を確認する
- 認証書の工場名・型式・有効性を照合する
監査後は指摘事項を写真付きで列挙するだけで終わらせず、重大度、是正期限、責任者、証拠提出方法を決めるべきである。是正後の写真や記録を確認し、必要なら再監査を行う。工場監査の価値は「監査した事実」ではなく、量産前に潜在的な品質事故をどれだけ取り除けたかで決まる。